2019年:macOS 10.15(自分は10.14を使用)
2019年を振り返ると、
・鹿児島から東京に帰ってきた
・メイン環境をmacOS 10.12から10.14に移行した(10.13をパスした)
・仕事でCSVやIllustratorと格闘していた
・高度なデータ照合(配列の順列組み合わせ全パターン計算して照合)を実施
・Webブラウザ上のWebコンテンツ部品の詳細データにアクセスしたり、JavaScript側からAppleScriptにレコードや配列などの高度なデータを返すような処理ができるように
・AppleScript用語辞書つきのライブラリの試作開始
・アラートダイアログ上に有用なGUI部品を配置したライブラリの提供開始(コードネーム:箱庭ツールス)
・sdefの書き方に着手。世界初のムービー/画像/サンプルScript入りsdefが作れるようになった
といったところでしょうか。2018年がTanzakuの部品や研究、AppleScriptからの機械学習の利用などが主な方向だったのと比べると、より一般性の高い部品を作っていたような印象があります。もちろん、Tanzakuの発展機能を実装した小規模な実証アプリケーション「Tanshio」も今年の目玉です。
2019年で一番価値の高いAppleScriptといえば、「Safariで現在見えている表を抽出してCSV書き出しv3」でしょう。Webブラウザ上に見えている範囲のオブジェクトだけを処理対象にする、といういままでやりたくてもできなかった処理ができました。
■2019/1
Pages書類の1ページ目の表の背景色を置換 v4
セキュリティダイアログに表示するメッセージをローカライズする
このあたりは、必要に迫られていろいろ試行錯誤したものですが、macOS 10.14以降のセキュリティダイアログ関連の経験を蓄積しないとこれらのOS上でGUIアプリケーションが作れないので、とても重要です。
■2019/2
アラートダイアログ上にTable View+Map Viewを表示
アラートダイアログ上にちょっとしたGUI部品を並べる「箱庭ユーザーインタフェース」。これまでそうしたユーザーインタフェースは推奨されてきませんでしたが、よくよく見回せばiOSアプリなどこの箱庭ユーザーインタフェースそのもの。だったら、macOS上のAppleScriptでそういうものを作ってもいいと割り切って作ってみた次第です。
■2019/3
青空文庫のテキストのルビタグを超高速削除
720KBのテキスト置換を数秒で行う、現時点でのCocoaの機能を十分に活用した、1つの到達点です。普通にtext item delimitersで置換していただけでは、この規模の処理は数時間かかることでしょう(一晩かけても終わらないかも)。
■2019/4
RectangleBinPackを用いて2D Bin Packを解く
Appleがいまだに直さないPDFViewのバグを回避する
2D Bin Packは昔からクリアしておきたいと思っていたテーマです。PDFViewというかScripting Bridgeのバグには困らされまくりです。
■2019/5
矩形座標同士の衝突判定(共通部分の検出) v3b
GET method REST API v4.3
このあたりは順調に機能を積み上げて到達した処理です。地道に機能を積み上げて、もう少しで別のレベルに行けることでしょう。
■2019/6
与えられた文字列の1D Listのすべての順列組み合わせパターン文字列を返す v3
macOS 10.15 Beta Release Notesに将来のmacOSでPython、Ruby、Perlなどのランタイムが含まれなくなることを告知
データの照合処理で必要になってくる(場合もある)順列組み合わせ計算。自分で書いた処理だけでなく他人の書いた処理も参考にしてパワーアップしました。他のScript言語処理系がデフォルトでインストールされなくなるかもしれないという件、OSプラットフォームとしての魅力が下がるのでやめてほしいんですが、そういう決定をするならするで、AppleにはAppleScriptの処理系をもっと大事にしてほしい気がします。
■2019/7
クリップボードに入れたIllustratorのオブジェクトをQRコード認識 v2
構文色分け情報を取得(Color Spaceを考慮)
QRコード認識は以前からいろいろやっていますが、実戦で使ってみると予想外の事態に直面します。想定外であれば想定外なりに対処した、というのが自動スケールアップ+QR認識機能です。
一方、AppleScript書類の構文色分けに基づく構文要素処理も機能を積み重ね、もう少し熟成(部品単位での使い回しを向上)させると普通にありふれた部品として使えるようになることでしょう。ライブラリ化してsdef付けて呼ぶぐらいこなれるとよいことでしょう。
■2019/8
display YouTube Script Library
JavaScriptCore経由で関数計算を行うcalcLibASをアップデート
冗談の産物display youtubeに、冗談で作ったcalcLibJS(JXAで作った)のあまりの不安定さに音を上げて作り変えたcalcLibAS、そして高速化改良を加え、sdefをつけて予約語で呼び出せるようにしたcalcLibASは、冗談から生まれて下手に実用性が出てしまったものです。冗談で作ったものが意外な発展を遂げるというのは、よくある話です。
■2019/9
指定アプリケーションの指定言語のstringsファイルの内容をすべて取り出す
Safariで指定のDOM Elementの情報を取得する
やらなくてはならない処理ばかり書いていると「やりたい処理」も書きたくなるもので、Safariを経由してJavaScriptの実行結果をAppleScriptで利用しやすくする処理を書いておきました。これが、今年一番の「Safariで現在見えている表を抽出してCSV書き出しv3」へとつながります。
■2019/10
CotEditorのScript集、PowerPack & Basic Packをv2.0にアップデート
sdef(AppleScript用語辞書)に画像やムービーを入れる
CotEditorの最前面のドキュメントの選択範囲を伏せ字に
CotEditorのPowerPackは、実際に作ってみていろいろ発見がありました。無償配布のScript集なんて作る意義はほとんど感じないものですが、これは事実上Tanzakuの部品や実装の習作でもあります。
sdefに画像やムービーを入れた例は目にしたことがありませんでしたが、「applescript://」リンクURL入りのサンプルScriptや画面スナップショットが入っているsdefを見ると、逆に入っていないものに違和感を覚えるほどです。
■2019/11
Safariで現在見えている表を抽出してCSV書き出しv3
checkboxLib v2
今年書いた中で、そしてここ数年で一番のScriptです。こういうレベルの処理が書きたかったものの、手がかりが見つからずに着手していませんでした。Webコンテンツの処理で「実際にWebブラウザで見えている範囲のものをピックアップする」のはやりたかった処理です。
checkboxLib v2は、はじめてムービー入りのsdefを同梱したライブラリです。実際にやってみると面白いものの、ムービーまでやらなくていいと感じます。
■2019/12
Double PDFを作り直して、Scripting Bridgeのバグを回避したと思ったら、PDFViewではNotificationもバグっていて表示中のページ変更のノーティフィケーションでページのノンブル変更できず、もう最初から最後まで表示中のページを自前で管理するなど「それってゲームプログラム?」ともいうような作りになってしまいました。
腹いせにVer.2はDouble PDFを30言語ローカライズして審査に回しました。ステータスが審査中になっても、数日返ってきません。言語リソースが増えると審査に余計に時間がかかるのでしょうか?