M1 Mac miniをメインマシンに変更してはや1か月ぐらい。普段のアプリケーションを利用する使い方では、ほとんどIntel Macと差がないというか、違いが分からない感じで使えています。
M1 Mac上でAppleScriptを動かすとIntel Macの10〜77倍遅いケースがままある(Cocoa Scripting時)ので、高性能マシンに乗り換えた感じはまったくしません。KeynoteとかMail.appとかSafariが速いだけの環境です。AppleScriptでバリバリにプログラムを書いているなら、iMac Proのほうが快適でしょう。Mac Proについては……三角関数の計算を間違える問題マシンとして認識しているので、まったく食指が動きません(価格的に無理ですが)。
ただ、M1 MacはCPUが熱くならないので放熱ファンで風を送らなくてよく、夏でも静かなのは助かります。
# macOS 12になって、Cocoa Scripting速度が大幅に改善されたので、(OSのバグや不具合はありますが)自分の使っている範囲では高速で快適です
Frameworkの移行
macOS 10.10以降、AppleScriptからオープンソース系のCocoa Frameworkが呼べるようになって、ほぼObjective-Cのコードを直接呼び出して実行できるようになって大変便利な状態になっています。Swiftで書かれたプログラムもBridging Headerを書けば呼べるらしいのですが、自分はいまひとつです。
Intel Mac環境でビルドして利用していたIntel BinaryのFrameworkを、そのまま呼び出すことはできていません。FrameworkについてはRosetta 2で翻訳されて実行できるという状況にはないので、Universal Binaryビルドを行う必要があるものと認識しています。
FrameworkのUniversalビルド
オープンソースのFrameworkのXcodeプロジェクトをそのまま手元に置いてあったので、Xcode 12でオープンしてビルドして、そのままAppleScriptから呼び出して実行できるものもありました。
「これなら問題なくいけるかも?」
……ある意味Yesともいえるし、Noともいえる状況です。
HTMLReader.frameworkあたりはほぼ何も考えずにUniversal Binaryビルドできました。これがないととても困るので助かります。
Intel MacとM1 Macではハードウェアの構成が違うので、そうしたIntel Macのハードウェアを前提としているものはもう、まるっきり動きません。オーディオ出力先のデバイスを変更するものは、まるっきりダメ。各種センサー類から情報を取得するもの(SMCkit)もダメでした。
macOS内蔵Frameworkでも互換性がないものも
Private Frameworkになりますが、ServerInformation.frameworkの中に入っている各種ハードウェアの名称テキストが、M1 Macについては入っていなかったりで。Intel Macとまるっきり同じ情報が入っているわけではないというのが意外でした。
macOSのバージョン間の違いによる「差」
これはFrameworkまわりの話ではありませんが、M1への移行は最新のmacOSへの移行でもあります。新しいという言葉から「改良されている」「よくなっている」と無条件に思ってしまいがちですが、「なくなっている機能がある」「削られた機能がある」という側面も無視できません。
macOSのバージョンが違えば、その構成ファイルも変わっています。とくに、Menu Extrasの構成が大きく変わっており、身近なところではScript MenuがmacOS 10.14でMenu Extrasから独立した小型アプリケーションに置き換わったりもしています。これがScript Menuだけでなく他のMenu Extrasでも同様の動きが起きており、どんどんその数が減少しています。
Menu Extrasの中の実行ファイルを呼び出しているようなScriptは、M1 MacつまりmacOS 11.x環境に持って行ったときに動かなくなります。ファイルそのものが存在していないので「当然」ではあります。