MacWorld Expo/TokyoのUsers Groupブースで、ついにNewt Onのデモを実施。
本プロジェクトの成果が、アップルのブースではなく、Users Groupのブースで世界に先駆けて公開されました。
メーカー主導ではなくユーザー主導で新たな時代が切り拓かれていく……そんなことを予感させるような出来事でした。
USのマイクロソフトMacintosh Bussiness Unitの開発チームや、海外の旧NeXT系の開発者にもNewt Onを披露。誰もがその存在を目の当たりにしました。Newt Onがこの世に確実に存在し、胎動していること、そして大きな可能性を持っていることに、多くの人々が共感を寄せてくださいました。

皆にNewt Onを見せて感じたのは、「誰もがみな同じようなことをやりたいと考えていた」ということです。
ただ、それを実現するには、もっと手間がかかって大変な作業になると思われていたようで。まさか、100行そこそのこプログラムで可能になるとは……!
メーカー(アップル)に何かを期待してただひたすら待ち続けるような、いわゆるメーカーへの精神的従属の時代は終焉の時を迎え、Macの利用方法を根底からくつがえすような概念や利用方法が、ユーザー側から提示されるに至った……と言ったら言い過ぎでしょうか。
新機種が出ないからといって不満を口にしたり、目新しい発表がなかったからといって落胆する必要はないのです。
なぜなら、いま、未来は私たちユーザーとともにあるのですから……。
Expoで行ったデモから
(Expoのステージで行ったデモから抜粋しています)
今日は、せっかくExpoに来ていただいたのですから、ちょっとだけ「未来」をお見せしたいと思います。おそらく、このデモは世界初のものです。 USから来ているアップルの担当者が見ても、腰を抜かすレベルでしょう。
みなさん、この機械をご存じですか? そう、Newtonですね。Newtonは、製品がディスコンになって4年を経た今でも根強い人気があるマシンで……私もいじくってみましたが、いいですよ、これは(笑)。
Newtonの本質は、ペンで操作できることでも、持ち歩けることでもなくて、人間の行動をインテリジェントに補助する……アシストすることにあるんです。
「Meet takamatsu Saturday」
と入力すると、「Meet」で「スケジュールの予約なんだなー」、「Takamatsu」で住所録からその名前の人をひっぱって、「Saturday」で来週の土曜日なんだなー、とNewtonが解釈して検索を実行してくれます。
これとほぼ同じものを、MacOS X上にAppleScriptで作ってみました。
これは、Microsoft Wordの文章です。 このWordのウィンドウに、日本語で文章を打ち込むと……後ろにいるAppleScriptが日本語の文章を認識して、 ファイルメーカーProのデータベースに問い合わせて、 結果をWordの文章に返してくれます。
MacOS Xだからこそできる、このスムーズな並列処理。 そして、インターフェース用に使っているアプリケーションがWord。
ViaVoice※注のMacOS X版がどのようなものになるか、USのAppleのWebで掲載されているとおりになるか、 そのあたりは現時点では分かりませんが……ViaVoiceのSpeakPadにある「Microsoft Wordに転送」のコマンドが使えれば、勝手にWord上で検索文字列を認識!
※注:ViaVoiceを用いてさまざまなアプリケーションをコントロールするデモの一環として本デモは実施されました。
Macintosh上で、音声だけでデータが検索できる日が、もう、すぐそこまで来ている……はずです。
また、ATOKであれば手書き入力も可能なので……タブレットをつなげば、Newtonライクにペン入力が可能になります。しかも、日本語のダイレクトペン入力は、Newtonの実機でも行えなかったことです。
(ExpoのUsers Groupブースで、デモをご覧いただいた多数の方に感謝申し上げます)
他のUsers Groupの反応
このシステムの進化を一番喜んでくれたのは、他ならぬNewton系Users Group、Newton Japanの皆様でした。
「Webで見たときには、よく分からなかったが……実物を見てよく分かった。これは面白い!!」
思わず、Newton Japanのステージに呼ばれて、実機のNewtonにまじって「Newt On」までデモを行うという一幕も。すっかり、Newtonファミリーの一員であるかのように扱っていただきました(MP 2100を買ったら真のファミリーだ、という声も^-^;)。
AppleScript系Users Group、「ASUG」のメンバーも、それぞれにNewt Onへの期待を語ってくださいました。
意外だったのは、NeXT系Users GroupのNeXuSのかたがた。このNewt Onのデモに大きな可能性を感じられたのでしょうか、わざわざExpo終了後の身内の技術ミーティングの場に呼んでいただきました。
そこには、なんと米FRONTBASE社の首脳陣が。
「ここにあるのは、AppleScriptから制御できて、しかもOracleより高速なマルチメディア・データベースだ」
見せていただいて、非常に感激しました。ファイルシステム上に一度落とすこともなく、QuickTime Playerとデータベース間で直接ストリーミングの通信を行い、その場でDBから直接ムービーを再生して見せたのです。
NeXuSの代表である竹尾さんからは、
「ScriptableなCocoaアプリ作るからさ、ぜひ声かけてね!」
実に心強いお言葉をいただきました。これが打ち上げの場の酒の勢いでなければ、きっと大きな力になってくださることでしょう(^-^;。
余波はこれにとどまりません。身内のバカムービー研究会からは、「コマンドを強化してiWeekに持って行ってデモすべきです!」との意見が寄せられ、さらにUsers Groupの外部のAppleScript書きの方からも、
「ぜひNewt Onプロジェクトに参加したい。先日Newt OnプロジェクトをOn The AirのHPで見て、『これだ!!』と思った」
このタイミングでAppleScript書きの方から援軍を得られるとは、夢にも思っていなかったので(もう少し成果が出てからだと思っていました)、たいへん嬉しく思いました。
自分は、アイデアやアーキテクチャを考える方が好きなので、このプロジェクトが本格始動したら、コードは別の人が書いたほうがプロジェクト自体うまく行くだろうと思っていた矢先の出来事です。参加したい方はぜひに(^-^;
えせNewtonが実現するべき未来像とは?
ここまで大きな反響があって、これから先このプロジェクトはどこに行くべきなのか。私がこのプロジェクトをどのような方向に導くべきなのか……。少々考えてみる必要がありそうです。
Newt Onのえせインテリジェント・シェルも、基本的な構造はUNIXやDOSと変わりないので、コマンドを入れればどんどん機能が増えるけれど……そのようなひたすらコマンドを増やし続ける無限地獄でいいのかどうか。
最低限、スケジュール予約やメールのインテリジェントな整理といったことは行いたいもの。それも、最低限の方法論が確立したいまとなっては、実現するのも時間の問題といったところでしょう。
ただし、善意でコマンドを作ってくれるであろう将来の人たちに、まったく見返りがなければプロジェクト自体が先細りになってしまいます。
ポータルサイト上に便利なコマンドが並んでいて、その中から自分に合ったものをダウンロード。何回かは無料で試すことができて、一定回数以上利用すると、シェアウェアのメッセージが出るとか……。
あるいは、スターターキットをCDで販売して、そのキットをインストールしたマシンからは、便利な拡張コマンドをポータルサイトからダウンロードできるとか。
また、オープンソース化の問題もあります。本プロジェクトのミソは、ほんの少しのアイデアとひらめきだけ。同じことをアベレージレベルのAppleScript書きが作ろうと思えば、余裕で作れてしまうものです。
だから、LinuxやGNUのような完全オープンソースというよりも……男と男の鉄の信頼でつながっている(女性もOKです^-^;)仲間の間にはソース公開とか。
どなたか、よいアイデアがあったら教えてください(^-^ また、Newt Onプロジェクトのメーリングリストも作成したので、我こそは! という方はぜひご参加を。
(Photo:さんそ~@HMUG、MACお宝鑑定団)