AppleScriptの世界観では、文字コードというものは「存在しない」かのように位置付けています。2020年的な状況においてはUTF-8で事足りると言いたいところですが、(日本国内的には)100%そういうわけにも行きません。
AppleScriptのファイル書き出しコマンド(writeコマンド)では、UTF-8だけは文字コード指定のオプションが存在しています。ただし、ほぼ隠し仕様で生AppleEventコードを記述する必要があり、文字列で記述できる「予約語」が設けられているわけではありません。
予約語が存在していないといいつつ、やはり文字コードを指定できないのは不便だったこともあってか、予約語が存在していないものの、特定のファイル書き込み操作を行うと確実にその文字コードでファイル書き込みが行えるという「暗黙の文字コード指定」という手段が存在しています(macOS 10.8でここにバグを作られて大問題になりましたが、10.8.xで修正されました)。
しかし、macOS 10.10以降ではCocoaの機能を手軽に呼び出せるようになったために、状況が一変します。Cocoaの機能さえ呼び出せば、文字コード指定を行ってのファイルの書き出しも読み込みもお手の物。すでに、Cocoaの機能呼び出しのない世界は考えられないほど。なので、Cocoaの機能をAppleScriptネイティブの機能と位置づけ、Cocoaの機能を用いて文字コード指定を柔軟に行えるファイル入出力ルーチンが整備されています。
AppleScriptネイティブのwriteコマンドは、このCocoaの機能に影響を受けています。Cocoaの機能を利用する宣言文、
use framework "Foundation"
がある場合には、writeコマンドをそのまま記述できず(実行時にエラーになる)、tell current application〜end tellのブロック内に記述する必要が出てきます。そのため、掲載のファイル書き出しルーチンのプログラムリスト「UTF8でファイル書き込み」には、一見して無意味と思えるtell current application〜end tellが記述されています。ただ、対処方法がわかっているので使い回しを行うファイル書き出しルーチン側に本記述を書いておくことにしています。
正直なところ、文字コード指定をともなうファイル入出力については、Cocoaの機能を利用した方が手軽なので(AppleScriptのファイル追記モードは便利ですが)Cocoaの機能を使う方法だけ掲載しておけばよいと考えます。ごくまれに、古いバージョンのOS用にScriptを書かなくてはならないとか、Cocoa Scriptingを考慮していない偏屈なアプリケーションのScriptingで必要になることがある、程度のものでしょうか。
AppleScript名:指定文字コードでファイル書き出し(UTF-8)v2 |
use AppleScript version "2.4" use scripting additions use framework "Foundation" set aStr to "高島屋" set aPath to choose file name set cStr to current application’s NSString’s stringWithString:aStr set thePath to POSIX path of aPath set aRes to cStr’s writeToFile:thePath atomically:false encoding:(current application’s NSUTF8StringEncoding) |error|:(missing value) |
AppleScript名:UTF8でファイル書き込み |
set dFol to (path to desktop) as string set fullPath to dFol & "test_utf8.txt" set aStr to "髙島屋" set fRes to writeToFileAsUTF8(aStr, fullPath, false) of me on writeToFileAsUTF8(thisData, targetFile, appendF as boolean) tell current application try set the targetFile to the targetFile as text set the openTargetFile to open for access file targetFile with write permission if appendF is false then set eof of the openTargetFile to 0 write thisData to the openTargetFile as «class utf8» starting at eof close access the openTargetFile return true on error try close access file targetFile end try return false end try end tell end writeToFileAsUTF8 |