Appleが世界に先駆けて商品化したPDA(Personal Digital Assistant)、「Newton」(ニュートン)。
市場の評価は悪くはなかったものの、会社の方針転換で販売終了となり、いまでは中古でしか入手できません。
Newtonに採用された技術はなかなかのもので、一度さわってみると「なぜこの使用感をMacOSに取り入れない?」と疑問に思ってしまうほど。
Newtonのクールでナイスな操作感覚
Newtonで「すげーなー」と感心させられるのは、スケジュールの予約。「Meet Takamatu Saturday」と入力して(どこぞのPDAのように升目に入力なんていわず、画面全部を使って入力。漢のPDAといえるでしょう)、アシストボタンを押すと……
Meet……スケジュール予約なんだな
Takamatu……住所録からTakamatu氏を検索して
Saturday……こんどの土曜日かー
と、勝手に解釈してスケジュール予約をしてくれます。時間と場所が抜けていれば、それをどうするかも聞いてきます。
すばらしい。ペン入力はこのさいどうでもいいので、このようなインテリジェントかつアバウトなクエリーを受け付けるソフトを作れないものか……そう考えた人は少なくないはずです。
Newton復活の要素はすでにある?!
よくよく考えてみると……個別のパーツはすでに身の回りに転がっていることに気付きます。
アプリケーションの間を取り持つグルー(糊)言語であるAppleScript。MacOS標準登載の言語解析エンジン、AppleScriptから操作可能なスケジューラー、あと抜けているのは……曜日を計算する「カレンダー計算機」とでも呼ぶものだけです。
仕事柄、Info-macのCD-ROMをすべてひっくり返したり、世界中のダウンロードサイトからダウンロードしまくって、スクリプタブルな(AppleScriptから操作可能な)アプリケーションの調査を行っています。
たまに、とんでもないソフトがスクリプタブルだったりして(モールス信号の解読プログラムとか、PDP-11のエミュレータとか)、腰を抜かすこともあるのですが……その一方で、「なぜ、このジャンルでスクリプタブルなものが存在しないのだ?」と、首をひねってしまうことも。
そうした意味で、よくよく調べてみたら……「カレンダー」にスクリプタブルなものが存在しないことが分かりました。Newtonライクなソフト「なんちゃってNewton」を作るための要ともいえるソフトが世界中さがしてもないということです。なんてこったい!
スクリプタブルなカレンダーを作っちゃえ!
Office:mac付属のEntourageはスクリプタブルじゃないか! という指摘はあるかもしれません。しかし、あれは単にスケジュールとか住所録とかメールの機能だけで、カレンダーとして期待するような機能はいっさい実装されていないのが現状です。マイクロソフトさん、そこんとこひとつよろしくぅ!(^ー^;
それでは、スクリプタブルなカレンダーというものに、どういう機能が実装さるべきかを考えてみることにしましょう。
基本的には、カレンダーがらみの「計算」を行ってくれるもの、ということがいえましょう。
next Saturday……次の土曜日の日付けを返す。もちろん、月曜日から日曜日まで指定可能
10 days after……(今日から)10日後の日付けを返す。afterとbeforeの日付けの相対指定
today in next year……来年の今日の情報を得る。33年前の自分の誕生日の情報を得たりもできる
left in this month……今月の残り日数を得る
left in this month in business……営業日で今月の残り日数を得る。公的な休日や会社や個人の休日については、別ファイルに記述しておく。「in business」オプションは、その他の相対日時指定にも使用可能
get calendar in this month……指定月のカレンダーをテキスト形式で取得
age from "1968/8/8" to today……指定日からの年令(期間)計算。
といったところでしょうか。
強力な助っ人、強力な製品!
……ということを友人のありたゆきお氏に話したら「えっ、そんなもんでいいの?」ということに。くぅー作れる人間は言うことが違う! さらに、IBMがViaVoiceの新版を発売。えせNewtonプロジェクトも急に盛り上がりを見せてきました。
……そんなわけで、ペン入力でなく音声入力でNewtonライクなことができないかというプロジェクトが本格的に始動しつつあります。途中でコケても、その成果物はそれなりに意味がある?!