Late Night SoftwareからScript Debuggerの最新バージョン、Script Debugger 7がリリースされました。macOS 10.11以降のOSが対象です。価格は99ドルで、ボリュームディスカウントも用意されています。
Script DebuggerはClassic Mac OSの時代からサードパーティのAppleScript統合開発環境として続いてきたソフトウェアです。AppleScriptのプログラムの開発、実行およびデバッグのための強力な機能を提供します。
v6:AppleScriptObjCに対応
v5:エディタ部分をフル書き換え
▲Script Debugger 7
▲Script Debugger 3 + Classic Mac OS 8.6(SheepShaver)
AppleScript統合開発環境の決定版
「デバッガ」の名のとおり、AppleScriptに対して変数内容のリアルタイムモニタリング、ブレークポイントの設定、ステップ実行などの機能を提供します。
さらに、対象アプリケーションの各オブジェクトの属性値情報をリアルタイムでモニタリングする機能を提供しており、初見のGUIアプリケーションであっても、Script Debuggerのこの機能を用いれば、とくに迷うことなく目的の属性値情報にたどり着くことが可能です。
初心者にこそ使ってほしいソフトウェア
こうした機能は、(上級者はもちろんのこと)初心者にこそ有用なもので、自分もたまたまAppleScript入門時にScript Debuggerに出会い(バージョン2か3の頃に)、たいへんに助けられました。FileMaker Proのデータベースからカテゴリごとにデータを抽出してHTMLコンテンツを生成するAppleScriptを、AppleScriptを使い始めて1週間ぐらいで作れるようになったのは、(海外のMailing Listで教えてもらいつつ)Script Debuggerがあったからです。
名前が仰々しいので「むずかしいソフトウェア」と思われがちで、それがScript入門者にとってもメーカーにとってもたいへんに不幸なことだと思っていました。初心者が使うと便利でわかりやすいのに、初心者が「むずかしそう」と敬遠してしまうのは、残念なことです。
一般的なレベルの「AppleScript入門者」にScript Debuggerの機能を2〜3週間で理解しろといっても無理なようなので、もう少し「何か」があれば入門者もより理解が深まり、Script Debuggerの恩恵を授かることができるのに、と思っておりました。
macOS 10.14以降で、サードパーティFramework呼び出しScriptに必須
Apple純正のCocoa Frameworkにくわえ、サードパーティのFrameworkをAppleScriptから呼び出して利用することが、macOS 10.10以降で一般的になってきました、ところが、macOS 10.14以降ではmacOSのセキュリティ機能が強化され、ユーザーフォルダに存在するFrameworkを呼び出して実行することができなくなりました(SIPを解除するとこの制限はなくなります)。
Script Debuggerは、このmacOS 10.14以降の環境で、github上で公開されているオープンソースのFrameworkをビルドして呼び出したいような場合に、SIPを解除せずともFramework呼び出しが行える環境です。
また、macOS 10.15でAppleScriptアプレットにFrameworkを同梱して呼び出すようなやり方がSIPによって禁止されましたが、これもScript Debuggerのアプレット書き出し(Enhanced)を利用することで、Frameworkを同梱して実行できるAppleScriptアプレットを作成できます。
3週間の試用期間を過ぎてもLiteモードで機能制限版として使用可能
そこに、今回のScript Debugger 7で「Liteモード」が用意されました。使用期限が切れても、機能制限版のScript Debuggerとして動作するモードです。このLiteモードの状態でもApple純正のスクリプトエディタよりも高機能です(AppleScript書類の書式にアクセスできない以外は)。
ちなみに、Xcode上でGUIベースのアプリケーションをAppleScriptで組もうとしたときに、Script Debuggerなどのまともな外部AppleScriptエディタは必須のものです。