画像の全ピクセルが白かどうかチェックする処理ルーチンは、必要に迫られて作ったものです。しかも、高速処理が求められます。
アイコン画像よりも小さな、たかだか1024 x 768ピクセルの画像であっても、全画素の空白をループでチェックしたら78万ピクセルあるわけで、地道に画像に対して座標を指定しつつ78万回カラーチェックを行うのは現実的ではありません。
作成した空白チェックのルーチンは3つ。
(1)Photoshopの明度ヒストグラム機能を利用するもの
Adobe Photoshopの明度ヒストグラム機能を利用するもの。はるかかなた昔から使っており、信頼性も高かったものの実行にはPhotoshopを要するため、どこでも同様に実行するわけにはいきませんでした。HTMLをPDF出力させたときに、無駄な空白ページが末尾にできることをチェックしたりと、重要な処理に使ってきました(プリントアウト時に無駄紙を省けるとか。枚数が増えると割と切実な問題です)。
(2)GPUImage.frameworkを利用するもの
オープンソースのGPUImage.framework(Objective-Cで書かれた初代のGPUImage 1)を呼び出して明度ヒストグラム計算を実行。スピード、コストなどの面で問題を解決できていますが、GPUImage自体がSwiftで書き直されたり、OpenGLからMetal向けに書き直されたりで、GPUImage 1自体の継続性については問題がある状態です。
(3)AppleScriptだけで書き直したもの
Cocoaの機能を利用して画像の空白チェックを実現。元画像のコピーを作って、白くぬりつぶして、オリジナル画像との照合を行う。同じであれば空白画像、同じでなければ空白画像ではないという判定を行います。4K解像度以下であれば最速。
そして、今後(1)〜(3)のどれを使い続けるべきかを、macOS 10.14.6でチェックしてみました。テストプログラムでは空白画像検出時にtrueを、空白でない場合にはfalseを返す仕様に。
(1) | (2) | (3) | |
1024x768_1_black.png | false | true | false |
4K_3840x2160_1_pixel_black.psd | false | true | false |
1x1_white.png | true | false | true |
結果は、(1)と(3)が同じ結果を返しました。(2)だけ結果が異なるケースが見られたため、Photoshopの有無に左右されないことを考えると(3)が有力といえます。
実際に、Mac App Store上で販売しているPDF差分検出ツール「Double PDF」ではv2.0からはGPUImageの利用をやめ、処理内容をすべてAppleScriptだけで行うことでスピードアップを果たしています。
この空白画像の検出以外でどの程度GPUImage 1がmacOS 10.14以降の環境で使えるか、使えないかは別のテストが必要でしょう。