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AppleScriptの穴

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macOS 12 beta5でAppleScript処理系の大幅なスピードアップ。M1もIntelも

Posted on 8月 18, 2021 by Takaaki Naganoya

以前から本Blogでは、M1 Mac+macOS 11上でAppleScriptの実行、とくにCocoaの機能呼び出しが10〜77倍遅くなるという件についてレポートしてきました。

–> macOS 11, AppleScriptをFirestormではなくIcestormで実行か?!

CPUの乗り換え直後ということもあり、淡々とAppleにバグレポートしつつ、周囲には「まだM1に手を出すべきではない」と話していたものが、最新のmacOS 12 beta 5においてどの程度変わったのでしょうか?

2つのスピード低下問題

AppleScriptのコミュニティ的には「macOS 10.15をインストールするとCocoa Scriptingが遅くなる問題」(Intel Mac)があり、そのうえに「M1でAppleScriptの実行+Cocoa Scriptingが遅くなる問題」の2つの問題を抱えていました。

macOS 10.15以降の速度低下問題は、自分がmacOS 10.15を「ダメ環境」としてパスし、M1 Macの導入にともないOSバージョンを1つ飛ばしてmacOS 11に移行したときにはじめて認識しました。

Mac App Storeに出している、AppleScriptで組んだアプリケーションの数々が、さぞやM1 Mac上で処理速度が向上して、より快適に使えるに違いない……と、ルンルンで箱を開けてテストをしだして、「遅い!! MacBook Pro Retina 2012より遅いとはどういうこと?!」と、落胆の表情に変わるまで1日も必要ありませんでした。

とくに期待していた時間のかかる大規模データ処理が、MacBook Pro Retina 2012の10倍以上遅いという結果に言葉を失い、Appleにこれを「バグレポート」としてレポートすることになったのです。

メール.appの起動やSafariの操作など、日常的な操作の範囲では噂どおりの処理性能を発揮していたのに、AppleScriptの処理だけ遅いというのは、これはもう明らかに「異常事態」です。

ベンチマーク比較対象

身の回りにあるMacをかき集めて調べてみました。現用機でこのベンチマークに参加していないのは奥方様のMacBook Air 2015ぐらいです。

今回、青い色で指し示しているmacOS 12 beta 5環境が注目点です。M1 Mac miniおよびIntel Mac mini 2014にmacOS 12 beta 5をインストールし、速度の変化を検証しました。

結論から言うと、macOS 12 beta 5ではM1 MacでmacOS 11.xの30倍、Intel Macで10倍ぐらいCocoa Scriptingの実行が高速になっています。

これは、冒頭で説明した(1)macOS 10.15で発生した何らかの内部的なミス (2)M1 Mac上でAppleScriptの処理系が明らかにIcestorm(電力効率のよいローパワーCPUコア)で処理されてしまっていたこと の2つの問題が解消されたため、と推測しています。

これらの組み合わせによって、Intel MacでもM1 Macでも処理速度が大幅に向上した、という「現象」のみが確認できているだけです。

ベンチマーク1:Permutation

DNAの塩基配列「T」「C」「G」「A」のすべての順列組み合わせパターンを計算する計算(Permutation)です。桁数が多くなるとデータ量と計算量が膨大に増えるのと、Cocoa Scripting導入の有用性を示す演算内容(Vanilla AppleScriptより桁違いに高速)でもあるため、4〜8桁のPermutationを採用しました。以下、グラフ内の横軸の単位はすべて「秒」です。

Machine 4が前の開発環境(MacBook Pro Retina 2012)で、これを基準に「速い」「遅い」という比較を行っています。

アップデート前のM1 Mac mini+macOS 11の環境はMachine 4よりもはるかに遅くて「使っていられない」状態でしたが、アップデート後の環境(Machine 1’)ではMachine 4の2倍強、アップデート前からは平均で27倍の速度向上を実現。

Intel MacでもmacOS 11から12への移行で11〜21倍程度、高速化しています。

ベンチマーク2:乱数配列の生成とソーティング

M1+macOS 11の環境では「要素数の多い配列の操作」と「乱数の生成」(AppleScriptのrandom number)がとくに遅いという傾向が出ていたので、10万要素、20万要素、30万要素の配列でベンチマークを行いました。ただし、本ベンチマークでは乱数の生成を最速の方法で計算しているため、M1 Macで1.3倍速、Intel Macでも同程度の速度向上になっています。とくに、要素数が少ないほど速度向上の割合が増えており、これは歓迎できる傾向です。

ベンチマーク3:AppleScriptのrandom number関数を用いた乱数配列の生成とソーティング

AppleScriptのrandom number関数を用いて1〜99999999の範囲の乱数を1万回生成して配列に追加するベンチマークです。初回実施時にはこれでM1 Mac mini+macOS 11の環境が、MacBook Air 2011+macOS 10.13の5倍の処理時間がかかるという衝撃の数値が出た内容です。

macOS 11から12 beta 5へのアップデートに伴い、M1 Macで30倍、Intel Macでも12倍速度が向上していることを確認しています。

macOS 11の正式版がmacOS 12?

どこまでも「次世代Apple Silicon Mac用OSのβ版」という印象が強かったmacOS 11から、AppleScript+Cocoa呼び出しについては機能の改善が行われ、macOS 10.15で失った処理速度をIntel Macでも回復できているように見えます。

自分が大規模データ処理+演算速度の目安に用いている、「約700箇所の日本全国のゲームセンターについて、全国の鉄道駅(約8,000箇所)との距離を求め最短のものを最寄駅とし、それぞれ最寄駅までの距離が短い順にソートする」計算の結果を見てみると、

MacBook Pro Retina 2012:7分13秒
iMac Pro:4分17秒
M1 Mac mini:1分42秒

と、iMac Proを大きく上回る結果を叩き出しています。あまりに速いので、計算内容が間違っているのではないか? とか、計算結果が出力されないのではないか?? などと疑問に思って何度も調べてみましたが、きちんと計算されています。間違いなく、これまでに遭遇したMacの中で最も高速にAppleScriptを実行する環境といえます。この速さは、異次元のレベルです(力説)。

正直なところ、Cocoa Scripting Course本掲載のサンプルAppleScriptをM1 Mac mini+macOS 11で動かしたときには「イヤな汗」が出まくりました。高速なCocoa Scriptingだぜキャッホー(奇声)! などとノリノリで書いていたものが、

「残念なお知らせです。いま、Vanilla ScriptingのソートルーチンにCocoa Scriptingのソートルーチンが抜かされました」

などと書けるでしょうか? いや、書けるわけがない(反語)。本件は、Cocoa Scripting本の続刊を書く手が止まってしまうぐらいの(よくない方向への)インパクトがありました。

かくして、そこから詳細な調査や問題傾向の炙り出しなど、表沙汰にできない調査と資料作成がはじまったわけで、一応こういう形で(いい方向に)問題が解決されて本当によかったデス。これで解決されなかったら、海外のYouTuberにチクリまくってセンセーショナルな方向で炎上させるしかない、と割と本気で思っていたほどでした。だいたい、自分にしかレポートできないのに、時間と何かを失って何も得られない膨大な作業。Appleが自分でチェックする能力がない一方で、この無償奉仕労働を強いられるのが納得できません。

macOS 12については期待が持てる内容ですが、これがいまだ現用環境であるmacOS 10.15やmacOS 11へのフィードバックが可能な内容なのか、あるいはmacOS 12の登場を待たなくてはならないのかは現時点ではわかりません。

ただ、ここ数年というもの(2020年は珍しい例外)、このぐらいの時期(8月後半)になると「またAppleの現場が無茶な仕様追加を行って開発プロジェクトが崩壊した」「Release版のひどさがいまから感じられるので、アップデート禁止」といった話題しか出ていませんでした。それが、「macOS 12には期待できる」という話ができるのは、喜ばしいことでしょう。

# Beta版では素晴らしかったのに、Release版で別物が壊滅的な出来でリリースされた「macOS 10.13」という悪しき前例があるので、Betaがよくても安心できない今日このごろです。「どうして10.13がああなったのか」という説明は一切ないままなので、いまひとつ信頼できません

Mac App Storeに出している各種アプリケーション(すべてAppleScriptで記述)の動作が、macOS 12 beta5上であればひじょうに高速です。

UNI detector+macOS 12 beta5 DEMO

Watch kamenoko_M1+macOS 11 DEMO

Watch Kamenoko_M1_macOS 12 beta5 DEMO

FileMaker Proに組み込んで大規模なCocoaの機能を呼び出しているAppleScriptの動作も快適になっています。

Watch M1+macOS11 MkMapView Demo

Watch M1+macOS12 beta5 MkMapView Demo

CotEditorと組み合わせて動かしている「CotEditor PowerPack v3」のAppleScriptも、macOS 12beta 5上できわめて高速に動く様子がわかります。

Watch CotEditor_M1+macOS11 DEMO

Watch CotEditor_M1+macOS12 beta5 DEMO

Numbers.appで選択中の範囲のセルをシャッフルするAppleScriptをmacOS 12beta5で動かしたもので、左がIntel Mac mini 2014、右がM1 Mac mini 2020です。
numbers_selection_shuffle_intel_M1_12beta5

これはAppleScriptに関する処理だけにとどまるものではないようです。Terminal.app上で動作させる各種CLI系のプログラムの動作時のCPU Coreの割り当ても変化しており、よりパフォーマンスを発揮する方向に「味付け」が変化しているように見えます。

ただ、CLIベースのプログラムについてまとまったベンチマークを行なっているわけではないため、実際に動作させている数少ない膨大な処理時間のかかるプログラム(PDF内の画像サイズ圧縮のために併用しているGhostScript)を見ている範囲で、アクティビティモニタ上のCPU各コアの動きが変わっているように見える、ということです。

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