「やられた!」と、感じるソフトウェアに出会うことはたまにあります。なんで自分では思いつかなかったんだろう、くやしい、これは自分が作るべきだったソフトウェアだ。でも技術力と発想力で勝てていない。素直に賞賛するしかない。
そういう目で見てしまうソフトウェアが何本かあります。それが、ものすごいヒットを叩き出してセールスをあげた、というわけでもないんですが、それでも羨ましいという気持ちはあります。
# この項目、あとから追記するかもしれません。
UI Action
PFiddlesoftの旧称「Prefab UI Action」といったか……GUI版のFolder Actionみたいなソフトなんですが、所定のアプリケーションのメニューなどのGUI部品を監視・実行するAppleScriptを設定できるツールです。つまり、各アプリケーションのGUI操作を横取りして、AppleScriptを実行させるというものです。
同様のことができないかと考えていたので、「やられた!」と、叫んでしまいました。
ただ、これができたらできたで、セキュリティ的にとても問題になりそう(知らないうちにアプリケーションの挙動が変えられてしまう)なのと、どのマシンにも同じソフトウェアとScriptをインストールしておけるわけでもないので、運用性がいまひとつだと感じました。
これは過去最大の「一本とられた!」と感じる嫉妬のスマッシュヒットでした。完敗です。
Siri
2000年代前半にはAppleScriptで同様のプログラムを実現していたので、とても「やられた!」と感じましたが、けっこうみんな同じようなことを考えていろいろ作っていたので、出し抜かれても仕方ないといえば仕方ないですね。予想どおりサーバー側で音声認識を行うなど、しかるべき努力をまっとうに行ったシステムという印象です。
さらに、自分たちで試作したソフトウェアでは住所録データやスケジュールデータが充実していないと、ほとんど意味がないし使っていても面白くないことがわかっていました。それがまさか、SNSなどの発達により個人データがネットを通じて住所録にたまっていく環境が出来上がっていくなど、普及の前提条件がクリアされていたことには気づきませんでした。外部環境が変わりつつあることを敏感にキャッチできていなかったというべきでしょうか。
ただ、実際に使ってみると「日常的にこれといって便利な用途がない」とも感じます。とんがっていないマイルドな味付けなので、(自分には)ささらない感じです(激辛希望)。
Retrobatch
Flying Meat SoftwareのRetrobatch。画像処理専門に特化したAutomatorという感じです。
Automatorのダメダメさ加減に業を煮やして作ろうと思ったのか、自分ならもっとすごいものが作れるぜ! と、思ったのかAutomatorを反面教師としたアプリケーションはいくつも存在します。
Cocoa APIの仕様を眺めていると、だいたいこういう感じのものが作れることはわかります。でも、それを実際に形にするのはまったく別の話。個人的にものすごく羨ましく妬ましいソフトウェアです。
とくに、CoreMLのパワーを利用して「なんとなくこんな感じの処理」をバッチ中に組み込めるというのが、うらやましすぎるポイントですね。それ、自分もいろいろ研究している部分なので。この方面の処理は、実際に作ってみると思い通りに動かないし、実現できたからといって評価されるわけでもないという微妙な位置付けと難易度なので、ついついそんなに真剣に考えないものなんですが、きちんと動いて役立つレベルに仕上げて売っているのはすごいと思います。尊敬します。
手元にあるアプリケーションのうち、CoreMLのモデルをアプリケーション内に格納してあるのは、Pixelmator ProとこのRetrobatchだけでした。