AppleScript users ML上で2016/10/16〜18に行われていた議論の内容を自分でも再確認しました(Thanks Yvan!)。一時フォルダの場所を求める「path to temporary items」の値が、macOS 10.12から変更になっています。
▲AppleScript Users ML上の議論のフロー(Mail Flow Visualizerによりバッチ出力。つまり、Mail.app上で出力フローを選択してAppleScriptでフロー図出力しています)
AppleScript標準装備の「path to」コマンドは、Classic MacOS環境からMac OS X環境に移行した後に重要度が上がったコマンドです。OS側が用意している特別な意味を持つフォルダの場所を返してくれます。
とくに、(いまさらですが)Mac OS X環境はマルチユーザー環境なので、とくにPicturesとかDocumentsとかDesktopとかの特別なフォルダのパスを求める機能は基礎的ではあるものの、とても重要です。このあたりをめんどくさがってなんでもかんでも固定パスで書きたがる人を見かけたことがありますが、その人が書いたプログラムは他のユーザー環境で動かなくて苦労していました(本人ではなく周囲の人々が)。
AdobeのCS/CCアプリケーションのサンプルAppleScriptでも固定パスで書かれたものを多数見かけましたが、あれはなんだったんでしょう。
ドメイン
もともと、path toコマンドにより求められる各種パスには、
system domain:/System network domain:/Network user domain:~
などのほか、
local domain:/Library Classic domain: Classic Mac OSのシステムフォルダ(Classic環境をサポートするOS&ハードウェアの組み合わせ上でのみ有効)
などの「ドメイン」が指定できることになっていました。system domainはOSのSystemが利用、User domainはユーザーのホームフォルダ以下。network domainはmacOSのNetBootが廃止/他の機能への移行対象となっている(すでに、iMac ProではNetBoot非サポート)ほか、そのような環境下にないと有意な結果が得られません。
作業用一時フォルダtemporary items
ドメインの区分けが存在するものの、これらの区分のうちClassic domainははるかかなた昔に消滅、network domainも使ったことのあるユーザーは稀(まれ)でしょう。
そんな中、作業用の一時フォルダの場所を求める「path to temporary items」の仕様がmacOS 10.12で変更になっていました。
テンポラリフォルダの特性ゆえに、細かいディレクトリ名はユーザー環境ごと、実行時ごとに微妙に異なりますが(赤字部分が変化する部分)、上の図では(↑)どのあたりに作られるのかという点に着目して色分けしてみました。
macOS 10.12以降では、user domainでもsystem domainでも同じような場所が指定されることになることがわかります。
ちなみに、Cocoaの機能を用いて求められる一時フォルダはまた別の場所が示されています。
use framework "Foundation"
current application’s NSTemporaryDirectory() as text
–> "/var/folders/h4/jfhlwst88xl9z0001s7k9vk00000gr/T/"
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