指定アプリケーションのAppleScript用語辞書(sdef)をHTMLに書き出すツール「AS Dictionary」は有用なツールです。もともと、hasがScriptingのための独自機構「objc-appscript」を作ったときの補助ツールでしたが、そのobjc-appscriptそのものは見るべきものがありませんでした(OS X 10.7あたりのOS側の構造改変で動かなくなってプロジェクト終了)。
補助ツールのAS Dictionaryは本来の目的とは完全に別の「sdefの差分検出」のためのツールとして利用されてきました。
ただ、最近のmacOS上のアプリケーションに対応し切れない状態になってきています。sdefに外部ファイルをincludeする形で、一部の定義部分を外部に追い出しているアプリケーションも出てきているため、これに対応できていないAS Dictionaryは、完全なsdefのHTML書き出しができる状態ではなくなっています。つまり、includeされている部分は書き出されないという問題を抱えています。
さらに、処理コアがPythonで書かれており、中にPythonの処理系そのものを入れた構造の(無理のある)アプリケーションであり、macOS 11.0, Big Surでついに機能しなくなってしまいました。
本ツールはMugginsoftでホスティングして改変が加えられたりしていましたが、Mugginsoft自体のWebサイトがなくなって配布も行われなくなったという状況です。Jonathan Mitchell氏のその後の消息については、かんたんにLinked Inで見つかりました。元気にしているようです。
アプリケーションパッケージの中をのぞいてみると、Pythonのコードがまるまるソースコードのまま格納されており、400行程度のコード(ASDictionary.py)であることを確認でき、内容も読めます。
まずは、sdefのバージョン間の差分検出にHTMLに書き出したsdefを用いるべきなのか、それともsdefそのもので差分検出すべきなのかという話になるでしょう。
Level 0:差分検出のためsdefをHTMLに書き出すという方法そのものを破棄。sdef同士の差分検出を行う。AS Dictionaryはここで終了
Level 1:Pythonコードをそのまま使って、現代の環境に適合する最低限度の改修を行う
Level 2:Pythonのコードを全部AppleScriptObjCに書き直す
Level 0かLevel 2の両極端な対応しかなさそうなのですが、どうもLevel 0になりそうな雰囲気です。