macOS 10.14.4Betaを使っていて遭遇したトラブルというかバグのような挙動なのですが、「システム環境設定」の「セキュリティーとプライバシー」>「プライバシー」>「アクセシビリティ」の項目。これは、Scripterにはおなじみの「GUI Scriptingの許可」を行う設定項目です。
# 本件については、最新のmacOS 10.14.6+同OSで利用可能な最新のXcode 11.3.1の組み合わせで、後述のように回避できるようになったことを確認しています
ここに、同一名称で異なるバージョン(バージョン番号の大きいもの=新バージョン)のアプリケーションが登録されない、という不具合です。
たとえば、v1.0のappletを登録しておいて、v2.0のappletを登録しようとしても、すでにv1.0が登録されているので追加登録できないし、いったん登録したものを削除できなかったという状況でした。
この問題のどこが困るかといえば、Xcode上でAppleScriptによるアプリケーションを開発していて、その中でGUI Scriptingを利用しているような場合です。Xcode上でAppleScriptアプリケーションをビルドすると、まず最初に動作確認用にdebugビルドを行うことになりますが、これで1つのバイナリができます。テスト実行時にアクセシビリティ認証を取得して、実行。
次いで、実際に単体で実行する(Xcodeのログ表示にlogコマンドによる表示が出ない)Relaseビルドのバイナリをビルドして実行。debugビルドとは別のバイナリができて、実行してみるとOS側からアクセシビリティ認証が許可されず、実行できないという状況でした。いったんこうなると、debugビルドのバイナリのアクセシビリティ認証を解除してもReleaseビルドを登録して認証することもできず、お手上げの状態でした。
以前、macOS 10.10あたりでこの項目で不可解な挙動が見られたことがありましたが、それが復活したような不安定さを感じます。ただ、テスト機はHDDで運用しているため、設定項目の変更がなかなか反映されないといった独特の挙動が発生することもあり、継続調査は必要だと感じていました。まだ、他のユーザーの環境でも同様の問題が発生するか「裏取り」ができていない状況でもありました。
この問題がmacOS 10.14 Beta Relaseの最中に突然発症したので、当時仕事で作成途中のプログラムがGUI Scriptingを一部で利用しており、現状のままでは10.14対応ができないと顧客に報告する必要が出てきました。
本BlogにアクセスしているクライアントのOSバージョンについてWebサーバーのアクセスlogから調査してみたところ、(自分の当時のメイン環境が10.12ということもありますが)10.12が最多。10.9から10.12にほぼ同じぐらいのクライアントが存在しているもようです。鬼っ子10.13や鬼っ子改の10.14については、アクセスlogに形跡が残っていない(Unknown Version?)としか言いようがありません。10.14は多い可能性もあります。
AppleにはmacOS 10.13でバギーなまま使い物にならない状態のOSをリリースしたという「前科」があり、10.14もその延長線上にあるということから、つねに疑問を持って接しています。
# かくして、macOS 10.14が正式リリースされ、開発には利用していましたが、メイン環境は長らく移行しませんでした。macOS 10.14.6が出た段階で再評価を行い、この問題が解決されていたので移行。当時macOS 10.15が出ていたものの、メールが消えるといった致命的な障害報告があったために、移行できない危険なOSだと判断しました。
[追記]2020/3時点での状況
macOS 10.14.x+Xcodeのプロジェクト内でGUI Scriptingを使ったプログラムの認証や開発が行えたなかった件については、Xcode側の対応が改善されたためか、OS側の対処が改善されたためか、現在では解決されています。
OSバージョン:macOS 10.14.6 Xcodeバージョン:11.3.1
この環境で、「File」>「New」>「Project」>「AppleScript App」のプロジェクトを作成し、中で他のアプリケーションをGUI Scripting経由でコントロールする処理を含むプログラムを書いて、アプリケーションとしてビルドし、OS側のセキュリティ機能と折り合いをつけて動作するようにできています。
Xcode Project側で設定すべき点は2つ。
(2)Xcode Projectの「TARGETS」でビルドターゲットを選択し、「Signning & Capabilities」>「All」で「Runtime Exceptions」の「Apple Events」にチェックを入れる
これらの設定を行って、Code Signしてあればビルドして実行すると、初回時にOSのセキュリティダイアログが表示され、そののちにGUI Scriptingの認証ダイアログが表示され、認証後、ビルドしたアプリケーションをいったん終了。
再度ビルド&実行するとOS側の「セキュリティ」認証とGUI Scriptingの(アクセシビリティの)認証が通ってアプリケーションの実行ができました。